図書館で順番待ちしていた 池井戸潤「ノーサイドゲーム」を借りました。
大泉洋主演で、日曜劇場枠ドラマも放映していました。
しかし、今までの池井戸作品の主人公を演じてきた俳優さんは皆さん2枚目。
「なんで大泉洋?」と感じ、大泉洋のエッセイを読んだことがあり、”変な人”だと知ってしまった為、見ていませんでした。
しかし、見ればよかったと後悔しました。
本を読んで、主人公のウンチクを言う君嶋は大泉洋に似合っていたのです。
「バカ」と相手に何回か言っています。池井戸作品では珍しいかな。
だから主題歌も「馬と鹿」まさか・・・。

あらすじ

主人公の君嶋隼人は、トキワ自動車 経営戦略室に勤務し、大型買収案件に異議を申し立てている場面から始まります。
営業本部長 滝川「カザマ商事を買収する事により、相乗効果がある。買収には未来がある」
経営戦略室次長 君嶋「1,000億円は高い、800億円が妥当」と自分から折れる事はしません。
見かねた経営戦略室部長 脇坂は「もう一度検討する」と引き下がります。
滝川は将来社長候補、脇坂は内務官僚の理論派でヒラ社員、同期入社なのに大差がありました。
買収案件の“カザマ商事”の取扱商品 “バンカーオイル”は確かに中堅海運会社でシェアが高く、この買収は魅力的な案件といえますが・・・。
数日後、君嶋に異動内示がでます「横浜工場総務部長」 左遷です。

 シロウト ゼネラルマネージャー

君嶋は営業部3年、企画部7年、営業推進部8年勤務。
妻と小学4年の男子、2年の男子の4人家族、今までトキワ自動車の為に頑張ってきました。
突然、畑違いの工場へ異動になるなんて、晴天の霹靂です。
代々横浜工場総務部長とラグビー部 ゼネラルマネージャーは兼務する事になっております。
ラグビーを知らない君嶋が就任、シロウトがなる事は皆無、滝川の嫌がらせを疑ってしまう程でした。
また、ラグビー部員たちは「滝川さんの策略で、シロウトをゼネラルマネージャーにし、チームを弱体化させ、潰そうとしている」と、君嶋が選ばれた事に対する不信感が漂います。
しかし、前任者 吉原とアナリスト 佐倉は「ゼネラルマネージャに求められているのは、ラグビーの知識やスキルじゃない。マネージメント能力なので適任」と君嶋が選任された事を歓迎します。

ラグビー精神

トキワ自動車社長の島本はラグビーが大好きで、精神論を絶賛してます。
「ワンフォーオール、オールフォーワン」~ひとりはチームのために、チームはひとりのために~
・・・チームのためにひたすら献身し、そしてチームも選手を見捨てない・・・
「ノーサイド精神」
・・・ボールを奪い合う激しい試合も、一旦終了の笛が吹かれてしまえば、敵も味方もなくなる・・・

 最初の仕事 監督人事に難航

前監督は成績低迷を理由に辞任が決定し、また定期検査で胃がんが見つかり、早急に監督を探さなければいけなくなりました。
候補は2人、竹原正光と高本遥
竹原は55歳、監督歴15年ベテラン、昨シーズンまで二部リーグのベアーズ率いていました。
一方、高本は昨年選手を引退後、海外でコーチングを学び、日本代表経験があるが、監督としての手腕は未知数。
君嶋は悩みます「監督が目指すラグビーによって戦い方も、結果も違ってくる」
そして、竹原はミツワ電器ファイターズ監督ではなくコーチだった事にひっかかり、本心が見えない男が嫌いだった為に却下。
高木は話す内容がくどく「こいつきっとバカ」と察し、法外なギャランティまで要望してきた為に却下。
アストローズは守備重視の堅実なチーム、徹底的に体を鍛えて、当たり負けしない強さを備えた上で、セットプレーから得点に結びつけるタイプ。
君嶋は“過去の大学と社会人ラグビー”のチーム毎の成績と監督を佐倉と協力しあい、調べ出します。

監督人事と新規事業は似ている

君嶋は「監督によって成績がどのくらい変わるのか。過去の実績をまとめたところで何がわかるかは、わからないけど、新規事業に似ている。」と思います。
そして、監督人事における譲れない条件をだします。
「現在の低迷を抜け出して優勝争いするチームになること → 過去にチームを優勝に導いたことのある人物」
「成功に導く経営者は、複数の事業を立ち上げ、どれも軌道にのせ発展させる。」
「一方で、失敗する経営者の多くはたいてい失敗を繰り返す。」
「倒産歴のある経営者が再び倒産する確率は非常に高い。」

城南大学のクーデター

都内、城南大学ラグビー部OB会が開催されています。
就任4年目の柴門監督は、数々の改革を断行しチーム強化に成功、3年連続学生日本一に導きました。

改革1:練習の効率化を図る為、長年の慣習であったOBの後輩指導を全て断わった。
改革2:資金集めの為、スポンサーを募り、大学のジャージやスパイクに企業のロゴを入れた。

OBからは「伝統破壊」と言われたが結果を出し、柴門は城南大学ラグビー部の監督を続けているつもりでした。
しかし、柴門の改革に反対するOB会のクーデターにあい、自分の知らない所で新監督が決定したのです。
首謀者は日本モータースラグビー部「サイクロンズ」津田監督。
君嶋と柴門は、大学の同級生でした。
フィジカルで打ち勝ち、理論で圧倒する柴門と、経営戦略化の君嶋が組んだら面白い事になる予感。

16億円の赤字

君嶋は前年予算を参考に予算案作りをし、経理部に提出します。
そこには「16億円近い大赤字」と、ラグビー部が「大所帯」だという事を知ります。
~チーム総勢80人、選手50人、スタッフ30人、コーチ、マネージャー、トレーナー、理学療法士、管理栄養士、チームドクター、アナリスト~
経営戦略家の君嶋は16億円の赤字に納得いかないが、通すしかありません。
やはり滝川常務に大反対されますが、島本社長の鶴の一声で無理矢理予算案は通過します。

君嶋の疑問 チケット代はどこへ

日本蹴球協会主催で、ラグビーの試合は興行されています。
参加費:毎年1,500万円支払い
    プラチナチーム16チーム × 15,000万円 = 2億4,000万円協会に入ります。
協会:競技場の使用料や運営に必要なスタッフ
   宣伝広告
   チケット販売管理
   興行に必要なコスト
   試合のための移動に必要な交通費や宿泊費も負担

仕組み:チケット代金は一旦、協会側に入ります。
    それを実績に応じてチームに分配するルール
    しかし、協会が出すのは、試合に出場する登録選手の数だけ
実際には、うちは50人単位で試合のために移動するですが、結果的に半分しか協会側は負担してくれない。
そして、協会側が負担しているコストの穴埋めで消えて、チームに還元されたことは今まで一度もない

観客の集客

1試合平均350人しか集まりませんが、君嶋は「なんで集客しない?」と不思議に思います。
理由は、協会からディスカウントでチケットを仕入れ、会社の取引先に手土産に渡しているのです。
正規のチケット購入者は200人もいない残念な結果なので、収益につながらないのです。

Bリーグの儲け方

Bリーグの195億円収益
営業収益を10億円超えるB1の18クラブ中、6クラブあります。
理由は

  1. プロ契約
  2. 試合数が多い
  3. 莫大な放映権料を含むスポンサー収入20億円、物販10億円、

日本蹴球協会4億円、物販1,000万、経営者の差がついてしまいます。
Bリーグは、すべてのチケット販売の実態を把握しています。
誰がどの試合のどの席を買ったか知っています。
年齢や性別、職業、氏名といったマーケティングのデータを収集し、それを運営に役立ています。
データを元に緻密な広告宣伝活動を行い集客に成功しています。

君嶋の提案

アストロズがまず着手する所は、選手の補強、戦略ではない ファンの獲得。
今まで行っていた宣伝のために街頭でチラシ配りは“意味がない”とした。

  •  ファン = 子ども
  •  ジュニアチームの創設
  •  親子ラグビー教室
  •  地域密着型のチーム作り
  •  イベントを増やす
  •  様々なボランティア

君嶋は

カネを積んでいい選手ばかり集めたって強くはならない。
一時的には強くなっても長続きしない。
地元に愛されてチームを作る事で成長していきたい。
強くなるためには、人気がなければダメ。
自分たちの足でしっかり立てるように努力してみようや。

ジュニアチーム創設予算は、ざっと2,000万円かかります。
滝川はどう返事をするでしょうか?
他にも問題は山積みです。
蹴球協会の改革
企業買収の件
アストロズの世代交代もあります。さて、優勝はできるのでしょうか?

まとめ

昨年、ラグビーのワールドカップが日本で開催され、盛り上がっていました。
しかし、私の出身地はラグビーが弱く、盛んでなかったため、ルールも詳しくない。
ワールドカップの時期にスーパーのレジに並んでいる時、見知らぬ女性に
「今から県内の開催場所に、オーロラビジョンを観に行く」と話しかけられました。
チケットがなく、駅前で画面を観て観戦するために、電車に1時間以上かけて行く心意気に圧倒されました。
あの時、盛り上がる波に乗っておけばよかったかしら?

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